巻頭言

2025.04.01
巻頭言

ベスト2025年4月号 巻頭言を掲載しました

選挙に際しての警護の留意点
~今年の参議院選・都議選に向けて~

株式会社日本公法 代表取締役社長
麗澤大学名誉教授
元中国管区警察局長
元警察庁教養課長
元警察大学校教官教養部専門講師
大貫 啓行

 トランプ大統領暗殺未遂事件(2024年7月9日)の衝撃映像には、インパクトがあった。その後、フロリダでライフル銃を持った者がゴルフ場に侵入し、狙撃のチャンスを待ち構えるという事態もあった。
 アメリカ社会の問題点が改めて明らかになり、同時に、選挙における警備警護の難しさが浮き彫りになっている。多くの人にアピールしたい警護対象と、群衆との距離をどのように取ればよいか。ある意味、議会制民主主義の根幹に関わる問題といえる。

 我が国でも、安倍元総理銃撃事件が選挙応援の際に起こった。岸田首相が和歌山で襲われたのも選挙応援。選挙は警備の鬼門。今年も夏の都議選に参議院選と、選挙が予定されている。完全な警備はそもそも不可能なのだが、警察としては、いかにしてより完全な警護を追求するのかというところに帰結する。

 アメリカの事例を含め、あらゆるケースに学ぶとしよう。情報収集が最も重要なのである。事案を振り返ってみれば、犯人にはいずれも兆候がある。ウクライナ支援打ち切りへの不満、Xへの投稿、現場徘徊、銃器購入、射撃練習、社会との分断孤立、不満、悩み、などなど。

 我が国においても、与野党の争いが激化する局面であり、政治状況は波乱含みである。警戒を要する情勢が続く。後知恵と言えば後知恵ではあろうが、あらゆるテロには、兆候があり、そこに対策のとっかかりはある。心理面でのふるいもあるだろうから、心理学など専門家の協力も得るのも手だろう。過去の教訓に学び続ける積み重ねが、何よりも貴重なのだ。
 格差拡大、価値観の対立分断、加えてSNSの普及も極端な傾向を助長しているように感じられる昨今。アメリカを見ると、日本の銃器規制の重要性が身に染みて感じられる。銃器規制、取締りなど、日常のコツコツとした業務の重要性を強調したい。

 昇任試験対策としては、いかに一人ひとりの警戒心を上げるか、その先頭に立って当たりたいという決意表明をすることだ。そのために、部下一人ひとりとどのように接するか。毎日の部下の変化に注意を払う、コミュニケーションの際には相手の顔を見て話す、などといった自分なりの心掛けを強調するとよい。
 率先垂範。常に先頭に立つという姿勢を強調したい。何事も万全の策はないといった中での任務遂行にやりがいを感じるような、前向きな信念を重視したい。具体的な先輩を目指すというような実体験に基づく決意表明は、面接でも好印象であることも覚えておこう。

巻頭言一覧ページに戻る