ベスト9月号 巻頭言を掲載しました
ストレスとの上手な付き合い方
~生き方は自分流で~
株式会社日本公法 代表取締役社長 麗澤大学名誉教授 元中国管区警察局長 元警察庁教養課長 元警察大学校教官教養部専門講師 大貫 啓行 |
現代社会はストレスに満ちている。誰しも完全には逃れることはできない。しかし、上手に付き合うことは不可能ではない。自分に合う自己流の上手な付き合い方を見つけてほしい。コロナ感染症でとかくストレスフルな日々を送る皆さんへ。本稿は、私流の対処法だ。
1 自己暗示に掛ける
私にとって、自己暗示の最も有効な方法は「褒める」ことだ。多少見え透いていても、褒められれば誰しも嬉しくなる。誰も褒めてくれない際には、自分で自分を褒めることだ。自分の癖を知っていることで自分を上回る者はいない。努めて自分で嬉しくなるようなネタを見つけることだ。
例えば、講演をする際、「私は得意なんだ」と、努めて自分自身に言い聞かせるようにしていた。不思議なもので、繰り返しているうちに得意なのだと思い込むようになる。過度に緊張することがなくなっただけで成功だ。最後には、ゆとりさえ醸し出すことができるようになるだろう。
2 深呼吸
ドキドキするときは深呼吸がお薦めだ。腹式呼吸が効果的。座禅の際の息遣い……できるだけ細く長く吐き出すことを意識する深呼吸が、一番効果的だと思う。深呼吸は、寝付きたい時にも有効だ。
3 休日や朝夕の散歩
ほんの短い時間、短い距離であっても散歩もやってみてほしい。意外に落ち着ける。気分転換には最高だ。できるだけリラックスできるコースを見つけることがコツだと思う。私の場合、樹木の植えられている場所をちょっと歩くだけで、思いのほかリラックスできる。それぞれの相性があるだろうから、最適なコースを見つけてほしい。
4 テレビなど報道機関は「危ない話」のてんこ盛りだ
例えば、コロナ感染症ニュースは、急な変化がないのであれば、一日一回で十分だ。ワイドショーを終日見ていてはダメ。感染する危険性ばかりでなく、人口当たりの感染者は何パーセントなのかといった客観的な科学的数値などにも目を向けるべきである。
それこそ、0.005%など極めて低確率であっても、ワイドショーでは、今にも全員が感染、死亡するかのように煽り立てる。そうでなくては視聴率が稼げないのだろうが、恐怖に支配されてはいけない。日本人は得てして恐怖に支配されやすい傾向にある。
5 自ら進んでやる
言われてやるのはストレスが高い。できるだけ、「なぜやるのか」と考えて納得したうえで自らやるという風に持っていくのが好ましい。仕事も勉強もだ。「しなければならない(義務)」ではなく、自らの意思で「したい」からやるというように持っていくことがストレス解消の極意である。繰り返し繰り返し、意識して、前向きの発想を心掛けることだ。
6 迷ったら行く、迷ったらやる
選択では、積極的な方を優先する方が、悔いが少ない。行くかどうか?やるかやらないか?迷ったら、積極的な選択をお勧めする。やらない言い訳を探すのはやめよう。やった人でなければ分からないのだから。
7 “今”を全力で
全力投球は気持ちがいい。
8 常に楽しむ心掛けで
何事も楽しむことができれば、最もストレスに強い人になれる。ストレスも楽しんじゃう人にはかなわない。ストレスの達人といっていい。例えば、自粛生活も、めったに経験できない暮らしとして楽しむ人もいる。発想の転換といってもいい。
9 疲れたら寝る
寝る子は育つ。大人だって。
10 耐えられなければ逃げもあり
逃げ上手も技の内。
現在のような状況下では、テーマは、深刻過ぎるもの、政治的なもの、月並みで表面的なものに偏りがちである。そこで、今回は箸休み的な軽いタッチで執筆してみた。いささかなりとも参考になれば、幸いだ。