巻頭言

2020.11.01
巻頭言

ベスト11月号 巻頭言を掲載しました

自己分析から始めよう
~やると決したらやり遂げる~

株式会社日本公法 代表取締役社長
麗澤大学名誉教授
元中国管区警察局長
元警察庁教養課長
元警察大学校教官教養部専門講師
大貫 啓行

 昇任試験でなかなか思うような結果が出ないで悩んでいる人が少なくない。本稿はそうした人への応援&アドバイスを目指している。

 そうした人の共通項は、「そこそこ勉強した。」「そこそこ頑張った。」といったものだろう。概して真面目なのだ。思うようにいかないという現実に、さして怒りも爆発させることもない。仕事が忙しかった、今一つ本気が出なかったなど、自分をかばう理由探しに走りがちだ。のっけからむごいようだが、自分の心の中をよくよく分析してほしい。
 要は、敗因は自分自身の心にある。その自分の心と徹底的に向かい合うところから始めなければならない。そうしたうえで、次回の目標達成に向けた決意が、全ての始まりになくてはならないのだ。早い話が、合格したいとの思いの強い人が受かる。自分の心の中の分析が終わったならば、燃えてほしい。
 目標が決まったら、そこに集中して取り組む。その瞬間から始まる。一年であろうが半年であろうが。はたまた来秋であろうが。その持てる全ての力で目標達成に立ち向かうのだ。
 自分のことは、自分が一番知っている。しかも自分との付き合いは一生モノ、逃れることも変えることもできない。自己分析はその自分との付き合い方の確認だ。うまくいく方法は、結局のところ自分で見つけるしかない。まずい所があるなら、それとの折り合いをつけなくてはならない。

 半世紀にわたる警察官との様々な付き合いから得た合格の秘訣はといえば、次のようなものだ。
 自己コントロールのできる人が合格する。全ての要因は自分にあるという冷静さを持つべきだ。
 また、同じ目標に向かう仲間を持っている人は幸いだ。競い合いが良い結果を生む。彼には負けられないという闘争心が究極の力になる。ライバルとは遊びも仕事も競い合うのがいい。率直に夢を話し合えればそれに勝るものはない。若い時、剣道で汗を流し合い、結局大幹部になった人々の顔が浮かぶ。
 同じ理由なのか、警察学校の同期生間のつながりを大切にする人は早く昇任するようだ。仲間を大切にし、いい仲間を持てた人が、長い目で見て、互いに向上していく例を多数見てきた。
 仲の良い夫婦は何物にも勝る力を生む。いい家庭を持った人はどんどん偉くなっていると確信する。合格する人はおしなべて夫婦仲が良いように思う。
 決してあきらめないこと。失敗は成功の基である。どんな人でも失敗する。要は失敗から何を学ぶかだ。学ぶところの多い人が成功する。
 試験までどんなに残りの時間が少なくとも、自分と向かい合って、最善の準備をする。そうした心境に自己をコントロールできる人は強い。残された長くない日々の集中力勝負。踏ん張りが大切だ。

 最後に、本誌編集部一同、皆さんの目標達成を願って、最善の準備ができるように微力を尽くしていく所存である。

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