2019/2/1 ベスト2月号 巻頭言を掲載しました
平成時代生まれの若手警察官への期待
~節目の日々を大切に~
株式会社日本公法 代表取締役社長 麗澤大学名誉教授 元中国管区警察局長 元警察庁教養課長 元警察大学校教官教養部専門講師 大貫 啓行 |
年始のあわただしさは毎年のこと。一日の長さも変わることはないのだが、なぜか「気ぜわしく」感じられるのは、人間の習性として長年染みついたもののようですね。
現役の皆さんはお忙しくお過ごしのことと思います。
しかも今年は平成最後、ということで特別な感慨も伴うのではないでしょうか。
この機会に、お互い、行く末を考えてみることは有意義なことです。
平成は30年間ということ。皆さんにとってはどういう意味を持つのでしょうか。
30歳以下の皆さんにとっては生まれてからこれまで、平成とともに歩んできた。その皆さんが警察社会の明日を担うことになる。警察の第一線の担い手として期待されるところはますます大きくなる。これからの30年、皆さんは働き盛りとなるということですね。
平成生まれの後輩がこれからも続々と警察界に加わってくる。皆さんにはその後輩とともに、その先輩としてリーダーシップを発揮して活躍することが期待されています。平成が終わろうとするこの節目に、平成生まれの皆さんは、期待されることの大きさを感じておられるのでしょうか。
平成時代は情報通信技術の進歩が顕著でした。平成生まれの若手の皆さんは物心ついた段階からどっぷりと携帯電話からパソコンなどに囲まれていました。生来の生得の……という感覚。その感覚は貴重なものです。年長世代の者にとっては頭で学びどうにか変化についてきたのですから。
ちなみに私は現在75歳ですが、社会人になった頃は、ガリ版印刷やタイプ印刷が主流でした。それがワープロになり、パソコンになった。ポケベルから音声の携帯電話が出て、それも急速に小型化した。ゲームだ、iPadだ、iPhoneだと目まぐるしいこと限りない。LINE、Twitterなどなど。もうついていくだけで息切れする始末。
警察活動への活用範囲も広がることは必然。カメラの進歩で防犯カメラは初動捜査で有力な地位を占めています。顔認証技術は犯人捜査に使わない手はないです。平成生まれの皆さんには、先頭に立って、どんどん新たな技術を取り入れていってもらいたい。
同時に、基盤にある人間に対する勉強を改めて問いかけることをお願いしたい。技術はどんなに進歩してもそれを使うのは人間だということをしっかり踏まえることが肝要。警察という仕事は人間そのものをよく観察することから始まるのですから。
技術の進歩の中で人間が浮足立って右往左往しているのが現状。そこに視点を当てていかなければならないと思います。
特殊詐欺や携帯いじめなどなど……新たな形態の犯罪が多発する時代です。人と人とのつながりが希薄化していることが根本にあります。様々な新たな犯罪への対応に対する若い皆さんの知恵に期待するところ大です。
平成という時代の特徴は何だったのでしょうか。一度考えておくことは有意義でしょう。平成最後の数ヶ月、行く末をじっくり考えてみてはいかがでしょうか。