ベスト6月号 巻頭言を掲載しました
本気で臨んでいるか
~燃える挑戦~
株式会社日本公法 代表取締役社長 麗澤大学名誉教授 元中国管区警察局長 元警察庁教養課長 元警察大学校教官教養部専門講師 大貫 啓行 |
仕事に惚れ、本気で臨むという姿勢が、職場でのあなたの好感度を高め、運命を切り開くカギとなる。それは、あなたの人生を豊かなものとする。このことに早く気付くことが人生の分かれ道だ。
今年、私は78歳となった。振り返ればいろいろなことがあったが、その瞬間、瞬間に、目の前の仕事に惚れ込み、我を忘れて仕事に臨めた時が一番充実していたということを実感している。
皆さんには、まず、警察官に就職できた、あの日の感激を思い出してほしい。照れ隠しもあって、そんな純情な気持ちは持てないという人もいるかも知れない。だが、もし照れ隠しに逃げ込んでいる人がいたら、そんな逃げは捨てることだ。怠惰という悪い影響を生むだけである。
何よりも、惚れることが進歩の第一歩となる。各自が自分の原点を確認してほしい。警察学校の門を最初にくぐった日のことを。
多くの人は、こんなことを指摘される必要はないと感じるかもしれない。警察官の仕事が好きであると。しかし、惚れているとまで言い切れるだろうか。深く心の中の本音を考察する際には、周囲の最も輝いていて魅力的な人を引き合いに、自分自身の、仕事に対する姿勢を考えてみることが有効だ。自分は本気になれば、もっともっとできるのではないか。好きだというなら、全力で臨めるはずだ。好きなのに全力投球になっていない人は、まずは原点の再確認が肝要だ。
昇任試験への取組にあっても同じことだ。本気の燃える挑戦こそが、念願の合格を獲得する決め手、要諦である。
論文でも面接でも、警察官の仕事が好きという情熱を燃やした挑戦に勝るものはない。本気で臨むことが合格をもたらすと信じることだ。
「好きこそものの上手」という。好きなら多少の苦労もいとわないというもの。また、おのずと仕事でも試験でもいい結果が出るというものだ。
内務省時代には、「三惚れ」(「土地に惚れろ」「仕事に惚れろ」「女房に惚れろ」)が強調されたそうだ。勤務地に惚れると、勤務地を郷土とする多くの周囲の人々が、喜んで好意的に接してくれる。女房に惚れるのは、家庭円満の要諦。同様に、仕事にも惚れこんで当たれば、成果が上がること請け合いと言うことだ。
嫌々仕事に臨むのと、惚れて臨むのとでは、結果で雲泥の差が生じる。職業という人生の重要な構成要素と、どのように付き合うのかということは重要だ。
たまたま相性が悪く、現在、惚れることはおろか、好きにもなれないという人もいるだろう。好きや惚れるというのは多分に感性の問題であるが、理性によって、好きになり惚れることができる可能性はある。惚れるのにも、意思と努力は必要だ。いい循環に巻き戻すのも、心の持ち方だ。
どんな小さなことでも、仕事の中で興味の持てる分野を見つけらたらしめたもの。ぜひ、その部分のエキスパートを目指すことを勧める。どんな分野でも、エキスパートとして認められれば、全然違った世界が開けるものだ。
まだ見つけられないのなら、何としてでも何かに集中し、全力投球で努力してみたらいい。きっと今までとは違った毎日となるだろう。人生は全て因果の連鎖。いい運を引き寄せるには心掛け、努力も欠かせない。自分に合った運命の端緒を見つけられるかどうか。成功の秘訣は、隠れている小さなきっかけの発見にかかっている。
惚れるというのは自分を幸せにする、最善・最大のエネルギー供給スイッチであることを忘れないでほしい。
燃える本気の挑戦をしてもらいたい。