巻頭言

2022.03.01
巻頭言

ベスト3月号 巻頭言を掲載しました

何事も自分と正面から向き合うことから始まる
~肯定的な発想で~

株式会社日本公法 代表取締役社長
麗澤大学名誉教授
元中国管区警察局長
元警察庁教養課長
元警察大学校教官教養部専門講師
大貫 啓行

 何をやってもうまくいく人と、うまくいかない人がいる。両者の間に大した違いもないようなのに、結果は厳然としているのだから厄介だ。警察官でも同じだ。成功する人としない人の違いは何だろうか。
 私は、様々な経験を経て、「人間何事も気持ちの持ち方が決め手」と思い至った。心構えが大切だという、いたって陳腐な結論であるけれど。

 昇任試験でも、自分が合格している姿を思い描いている人が、高い確率で合格する。落ちたらどうしよう、しんどいな、というのでは気が滅入る。そういった人にはいい結果もついてこない。
 病気療養でも同じようだ。治ってよかったと喜んでいる姿を心に描けている人は、つらい闘病にも前向きに立ち向かえる。昔から病は気からというが、裏返せば同じことだ。私も、ここ数年入退院を繰り返す中で実感した。肯定的な人は否定的な人より成功する。自分の将来の姿をどう思い描いているのか。その違いは大きいと確信している。

 これまで警察官としての勤務を通じて、あるいは大学での警察を目指す学生の指導を通して、かなり多くの人を見てきたが、成功する人とそうでない人の一番の分かれ目は、醸し出す雰囲気のように思われる。それをオーラといってもいい。そのもとは、その人の発想が肯定的か否定的かの違いと思われる。
 昇任試験に受かった自分の姿を思い描いて頑張っている人は、結局受かる。頑張りが利くからだろう。それに対して、落ちる姿しか描けない人は踏ん張れない。また、無意識にそれを察しているのか、オーラを発している人の周りには同様にオーラを発している人が寄っている。受かる人は受かる人と身近にいる。類は友を呼ぶとはよく言ったものだ。

 ベテラン刑事から、「俺が絶対ホシを挙げる」という想いの強さが頑張りの根源だ、と聞いたことを思い出す。そういう人に、運もついてくるようだ。実直な老刑事の話す姿が今でも思い出される。生涯一刑事を誇ったベテランがどこの署にもいた。筆で調書を書いた時代の雰囲気を感じさせる先輩たちだった。犯行現場の悲惨な姿を心に焼き付け、無念を晴らしてやるとの思いを湧き立たせる。事件解決の喜びの陽光を心に抱く。

 明日の自分の姿を、いかに肯定的に描けるか。全てはそこに始まるのだ。今年合格して張り切っている自分の明日の姿を、強く思い描いてもらいたい。そうしたあなたの夢はかなうのだ。

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