ベスト2024年2月号 巻頭言を掲載しました
運が良いとか悪いとか
~経験的にいい加減に~
株式会社日本公法 代表取締役社長 麗澤大学名誉教授 元中国管区警察局長 元警察庁教養課長 元警察大学校教官教養部専門講師 大貫 啓行 |
思う結果が出ない場合、とかく運の良し悪しで自分を納得させたくなるものだ。自分が悪いのではない、運が悪いのだ、と。それで気分が良くなっている限り、さして悪くはないのかもしれない。私の経験から言うと、肩の力を抜いて、良い結果の出た習慣を大事にしていってほしいと願っている。
そもそも「運が良い」とはどういうことなのだろうか。運の良い人と悪い人の違いは何なのだろうか?何事も、なぜかうまくいく人もいれば、やることなすことうまくいかない人もいる。きっと何か違いがあるのではないだろうか?運が良いと言われる人の立ち居振る舞いや言動などを観察してみるのも有意義ではないだろうか。運が良いと言っている人は、なぜか次もうまくいくことが多いようだ。ということは、その人に何か他の人と違った何かがあるのではないか。見つけることができたなら、まねてみてはどうだろうか。
与えられた仕事を好きになって、最善を尽くして取り組んでいる人は、大抵いい結果が出る。最初は希望していなかった仕事も、やるからには好きになった方が気分もいい。どうせやる以上は最善を尽くしてみよう。周囲の評価が高くなったり、良い結果が出たりすると、自分だって悪い気はしない。当初希望していたものとは違った仕事も、いつしか好きになっているというものだ。
肩の力を抜いて、楽しんでやったほうがうまくいくことが多い。思わぬ発想が浮かぶかもしれない。力んでいるよりいい結果が多いように思う。青筋を立てるのではなく、力みのしこりをほぐしたほうがいいように思う。苦手な人にも、できるだけ笑顔で接した方がいい。誰しも、好意を示して接してくる人に悪い気はしないものだ。挨拶もこちらから、しかも大きな声でしたほうがいい。
後でやろうと先延ばしにするより、早くやってみることだ。私の場合、ぐずぐず考えているより、一行書き出してしまうほうがいいことが多い。原稿を書き出せば、次第に集中してきて、ついつい書き継いで、気が付いたら出来上がってしまうということもある。
下手の考え休むに似たり、というのも、なるほどと納得している。経験的にはすぐやったほうが、結果も良いようだ。
成功体験は大切にしたい。「前回うまくいったのだから、今回もきっとうまくいくだろう。」と、前向きな発想を大事にしたい。悲観より楽観、消極より積極。発想はそうありたいと思っている。暗い気分より明るい気分でいた方が、いい結果が出たように思う。
良い結果が出なかったとしても、自分を大切にする。世間の価値観や評価を気にし過ぎず、自分を肯定する気持ちを大事にしてほしい。開き直りではないが、「いい加減」ということ。時には自分中心に考えてみるのだ。運が良いとはこうした心の持ち方の集大成ではないだろうか。